にわかログ

16年来のジャニオタがある日突然Snow Manに転がり落ちてからの日々を綴るTwitterにて呟いた長文アーカイブ用のブログ

ミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』の観劇記録

薮宏太さん主演ミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』を観劇しました。


観終えた後に、ジャニーズタレントさんの主演舞台を観たのが2015年の伊野尾慧さん主演『カラフト伯父さん』以来だと気付きました。


それと共に、舞台って観終えた後に「楽しかった!」とか「ストーリーがハードだった…」って気持ちになっても、何年かするとその内容がどんなのだったか忘れがちだなということに気付かされました。
今回ご縁があって観劇できた『ジョセフ』は観終えた瞬間の一番の感想が「楽しい」だったのですが、この気持ちをできるだけ長く記憶に留めておきたいなと思うので、今更ながら感じたことを書き留めておきます。



【あらすじ】

主人公のジョセフは、12人兄弟の11番目で父親にとって一番お気に入りの息子。
ある日ジョセフは、父親からの愛を一身に受けている彼を妬んだ兄弟たちに陥れられ、ついには奴隷として売られエジプトに行くことになる。

エジプトの金持ちに買われたジョセフは一生懸命働くも、雇い主の妻に一方的に言い寄られたことで雇い主の怒りを買い投獄されてしまう。
ジョセフには『夢を読み解く』力があり、牢獄で出会った他の囚人たちが見た夢の話を聞きその意味を教える。その能力は国王(ファラオ)の知るところとなり、その御前でファラオが見た夢の意味を読み解くよう求められる。それによりファラオに認められたジョセフは、国のナンバー2として王を支えることになる。

その数年後、世界は飢饉に見舞われたが、ジョセフの夢見の力でこの事態に備えていたエジプトは窮することはなかった。
ジョセフの故郷では兄弟たちが飢えに苦しんでおり、豊かなエジプトに行くことを決める。

エジプトに着き、ジョセフに謁見した兄弟たちだったが、彼らは目の前に居るのが自分たちがかつて売り飛ばしたジョセフであることに気付かない。ジョセフは彼らに施しを与えるが、弟のベンジャミンが貴重な杯を盗んだように濡れ衣を着せ、処刑するように命じる。それに対して他の兄弟たちは「ベンジャミンがそんなことをするはずがない」「彼を処刑するのなら自分たちが身代わりになる」と言う。懇願する彼らの姿を見て、ジョセフは自らがの正体を伝える。
ジョセフを謀ったことを悔いていた兄弟たちは再会を喜び、ジョセフも彼らを許す。「ジョセフは死んだ」と聞かされていた父親もエジプトへ呼び寄せられ、再会を果たす。



【感想】

ミュージカルはこれまでにも何度か観劇していますが、全編歌唱という形式のミュージカルを観劇したのは初めてでした。
私は演劇ファンではなくて、『主演の薮宏太さんの歌声が好きなHey! Say! JUMPのファン』としてチケットを取って劇場に足を運んでいるので、以下、そういう前提での感想です。

とにかく全編を通じてジョセフの存在感が際立つステージだなと感じました。
そういうストーリーでそういう歌割りだから当然と言えば当然なんだけど、薮さんがちゃんとその役割を全うしていると言うか、歌でも佇まいでも共演者に飲まれることなくまごうこと無き『座長』だったなと。


このストーリーは「現代の子供たちがナレーターによって『ジョセフの物語』の読み聞かせをしてもらう」ことが大枠なのだけど、ナレーターの話の中で初めてステージに姿を現したジョセフの立ち姿を観ただけで「背が高い! 足が長い! 神々しい!」と拝みたい気持ちになりました。(このスタイルの良さはミュージカルの座長としての才能の一つだと思います)

このジョセフの登場を皮切りにストーリーは旧約聖書のジョセフの物語に入って行くのだけど、物語の中の登場人物たちは白以外の服しか着ていないんですね。その中でジョセフの衣装は基本的に真っ白。特に兄弟たちや父親はアイボリーのようなくすんだ色味の服を纏った中でジョセフだけが白を纏うことで、彼の特別さや神々しさを視覚的に得られました。
ナレーターと子供たちも真っ白の衣装を着ているのですが、ジョセフは物語の登場人物でありながらナビゲーターのように彼らとも触れたり話したりできる存在で、この衣装の色だけでジョセフが物語の枠を超越した存在であることも伝わってきたように思います。


youtu.be↑劇中シーンを時間指定しています。
改めて映像で観てもジョセフの白い衣装が舞台に映えている。


また、ジョセフという人物のキャラクター性が素敵で、きっとこのストーリーの結末を迎えての感想が「楽しい」だけで完結できるのはそのキャラクター性のおかげだなって思いました。
あらすじから言ったら「どん底から這い上がるストーリー」であって、個人的にはこういうストーリーって「最後はハッピーエンドで良かったけど途中のどん底シーンを観てるのは苦しかったな」って気持ちになりがちなんですが、振り返ってみると投獄されて一生ここから出られないと言われた場面でもそこまで苦しい気持ちにはならなかったなと気付きました。
それはジョセフはずっとジョセフのままだったからだと思います。

若い頃のシーンは無邪気でキラキラしていた主人公が現実に打ちのめされて徐々にきらめきが失われていくようなストーリーは例えハッピーエンドでも私は観ていて苦しくなっちゃうんですが、ジョセフは若い頃もどん底に落ちても権力を手にしてもずっとキラキラしていました。
兄弟たちに陥れられて奴隷として売られた時も、主人の怒りを買って牢に入れられた時も、ジョセフはその現実を悲しみはするけど自分をその状況に至らせた相手を恨んだり運命を呪ったりすることが一切無いんですね。それどころかエジプトで奴隷として働いているシーンで「大好きなご主人のために頑張ろう!」みたいなことを言っていて、「えー?! 奴隷になのにこんなに前向きに働いてるの?! しかも兄弟に売られて奴隷になってるのに?!」と驚かされました。

そんなジョセフだから、最後に弟のベンジャミンに冤罪を仕掛けた時も、仕返しではなくて兄弟たちを試しているんだなと感じられました。
主人公であるジョセフの行動原理が恨み妬みではなく常に前向きな気持ちだから、物語全体がハッピーな印象に始終していたのだと思います。


また、個人的には薮さんの伸びのあるハイトーンボイスが好きなのですが、『ジョセフ』の楽曲ではあまり高音パートは無かったなという印象です。
しかし音域の広さと安定した中音域というのもまた薮さんの歌声の魅力の大きいところなので、今回は中音域での表現の幅を味わえてとても良かったです。


youtu.be



【覚書】

私の観劇した公演は長い公演期間のうちの最後から3公演目で、ダブルキャストのナレーター役のシルビアさんと、トリプルキャストの子供たちはこの公演が千秋楽でした。
その旨がカーテンコールで座長から紹介されたのですが、千秋楽を迎えた子供たちのうち男の子が薮さんの腰にぎゅっと抱き着く姿が非常に微笑ましかったです。

カーテンコールでのジョセフの衣装はポスタービジュアルと同じ真っ白いマキシ丈のコート。背中側の中央に行くほど裾が長く、かつ後身頃がプリーツ状になっていて、階段を駆け上がるとその裾がふわっと広がるのが優雅で素敵でした。
一番長い部分は床に引きずるほどの丈なのだけど、階段を上りきってターンするところでも踏み付けたり足に絡まったりすることない華麗な裾捌きにも惚れ惚れしました。
そんな優雅な振る舞いから一転、舞台裏にハケるギリギリに見せた笑顔でのお手振りだけはアイドル薮さんのそれで非常に愛らしく癒されました。

ついでに余談。
劇中でジョセフが着用する、父から贈られたテクニカラードリームコート(華やかな色のロングコート)もまた床に引きずるほどの超ロング丈でしたが、それを着て踊るジョセフの姿はアイドルだな~って思いました。何て言うか、「現役アイドルがジョセフの役を演じるのって一つの正解だよな~」って感じ。役のアイドル性に説得力が生まれるとでも言うか。

少なくとも私は薮さんが主演じゃなければ『ジョセフ』という物語に出会うことはなかったので、薮さんをジョセフという役に出会わせてくれたことに感謝します。
ジョセフは魅力的であり、それを演じる薮宏太さんもとっても魅力的な舞台俳優だと感じましたし、やっぱり薮さんにはいつかミュージカルスターになって欲しいなって思いました。