にわかログ

16年来のジャニオタがある日突然Snow Manに転がり落ちてからの日々を綴るTwitterにて呟いた長文アーカイブ用のブログ

映画『ハニーレモンソーダ』感想

2021年7月11日 19:10のプライベッターより

 

一言で言うなら、とても良かった!

 

私は邦画や日本のドラマを観ていても、画面に映っている人を『役』ではなく『役者』として見てしまうのであんまり作品にどっぷり浸かって楽しめるタイプではないのですが、この作品は珍しく登場人物のことを『役』として見ることができました。
「マンガ原作だからかな?」とも思ったのですが、マンガ原作の実写化でも『役者』としてしか見られないことがほとんどなので、この作品の纏う空気感とキャストの皆さんのビジュアルや演技が私の中でぴったりハマったからなのかなと思います。


公開前のプロモーションの数々を拝見して、共演者の方々の口ぶりから察するにこの作品は『ラウールくんというアイドルを魅せるための映画』なんだろうなと想像していました。原作を忠実に再現するのではなくて、界くんというキャラクターを通して17歳のラウールくんの魅力を伝えるキラキラしたプロモーション映像のようなイメージです。

 

映画が始まって間もなく、キラキラした美しい映像に「これは良質なプロモーション映像だわ」と思ったのですが、それと同時に「一体何のプロモーション映像?」と思いました。
事前のイメージから言うと『ラウールくんのプロモーション映像』ということになるのだけど、それだと何だかしっくりこない。界くんというキャラクターの不思議な魅力とそれを演じるラウールくんの美しさは確かにめちゃくちゃ伝わるんだけど、この作品に感じる『良質さ』はそんなピンポイントじゃなくて、全てのメインキャラクターの人としての魅力や役者さんのキラキラした表情から発せられているように思えました。
「そうか、これは『理想の青春のプロモーション映像』なんだ」って思ったら、凄く腑に落ちて、以降はそういう視点で観ていました。

事前に「展開が凄く早かった」というような感想を呟かれている方を見掛けたのですが、もしかしたら私もストーリーを追う見方をしていたら展開を早く感じたのかもしれません。
しかし『プロモーション映像』という感覚で観ていたので、あっという間に夏が訪れたシーンでも「この描かれていない晩春~初夏にかけての間にきっと登場人物たちのささやかな日常が積み重ねられた末に、夏になって羽花ちゃんと同級生たちの距離がこれだけ縮まったんだろうな」とすんなり受け止められました。描かれていない部分の行間を読むような感覚が、まるで小説を読んでいるようでもあり楽しく感じられました。

描かれていない部分の行間を読むという点では、この映画では登場人物のモノローグや独り言がほぼ存在しないところも、全てを詳らかにしないことで受け手に解釈が委ねられているようで美しいなと思いました。
ノローグが無いのにその表情や仕草から心の内が読み取れて、特に羽花ちゃんと界くんがそれぞでの自室で1人のシーンはそれが強く感じられました。


また、事前にストーリーの概要を読んで、「2時間弱の映画なのに、メインの2人がくっついてすれ違う展開まで描くの? くっつくまでの展開を丁寧に描いた方が映画としては良いんじゃないの?」と思っていたのですが、実際に映画を観たら「2人がくっついて終わりだったらこんなにも素敵な作品にはなってなかった」と確信しました。
何故なら、私はこの映画を『理想の青春のプロモーション映像』と捉えて観ており、青春映画には『苦悩』と『成長』が欠かせないと思っているからです。

映画を観た方は、予告でも公開されていた界くんのしゅわきゅんセリフにときめいたことと思いますが、界くんのセリフがことごとく素敵だったという大前提の元で、羽花ちゃんの「私も空飛べるんだよ」「三浦くん係だから」というセリフが私にはめちゃくちゃ刺さりました。
前半パートは界くんが羽花ちゃんを救ったり守ったりするエピソードが中心なんだけど、羽花ちゃんが守られて終わりじゃなくて、自分が救われた言葉で今度は界くんのことを救うというのがとても良かったです。

しかし、界くんに出会って強くなり成長した羽花ちゃんの姿は、前半パートだけでも描けたと思います。この映画が2人が付き合うまでの前半パートで終わらずに、2人がすれ違う後半パートまで描いたのは、この映画の主役が羽花ちゃんではなく界くんだったからだと解釈しています。
前半パートでは優しくてかっこ良くてミステリアスな男の子だった界くんが、後半パートでは誰にも見せたくない自分の弱さと向き合って苦悩して成長するから、この映画の主役は界くんなのだと思います。

(余談:前半パートで羽花ちゃんがあゆみちゃんたちとお弁当を食べながら、不幸な顔など一切せずに「私中学の時いじめられてたんです」って話すシーンが強烈に印象に残ったのですが、普通なら隠してしまいそうな自分の過去を平然と伝えることができる羽花ちゃんの強さが、後半パートで自分の弱さを見せることに葛藤する界くんとの対比になっていたり、それが界くんが羽花ちゃんに惹かれる理由の一つだったりするのかなと思いました)


正直、この作品の映画化が決まった時は「17歳のラウールくんの美しいきらめきを映像に残して貰えるだけで充分」という気持ちでいました。
しかしこうして公開された映画を観て、少女マンガらしいしゅわきゅんシーンも、キャストの皆さんの瑞々しい表情の数々を切り取った美しい映像も、全てを語り過ぎない行間を感じる美しいストーリーも、全部が本当にとても良かったです。

公開前から何度も言っていたけど、作品を観て改めて、ラウールくんの初単独主演映画が『ハニーレモンソーダ』で良かった!

 

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2021年7月11日 19:11のツイートより

 

ちなみに、原作は1話のみ読んで映画を観ました。
原作を読破してから2回目観に行きたいです!

 

肝心なこと書くの忘れてました。

主題歌がとても良かったです!
映画館の音響で聴くフルサイズの『HELLO HELLO』、イントロの流れるタイミングも、エンドロールとのハマり具合も最高でした。
改めて、映画ハニレモがあったからこそ『HELLO HELLO』という素敵な曲が生まれたことに感謝です。